無題の誘い文句

「◯日空いてる?」と用件を言わずに日時だけで尋ねられるのがとても苦手で、そういう連絡が飛び込んでくると、ぐううっと胸が締め付けられたような感じがして、息が詰まってしまう。なんて返そうか、必要のない考えを巡らせて、勝手に疲弊しているのが少し情けない。というかそもそも、この類の連絡のされ方が得意な人はいるのだろうか。

明確な用件があるならば、それを言った上で日時をすり合わせればいいのだから、あえて用件を言わないメリットはこれっぽっちもない。仲の良い友達ならまだしも、「◯日空いてる?」と用件なし日時のみで聞いてくる人は大抵の場合、久しぶりに連絡をしてきた人や、二人で会うほどの仲ではない人が多い。「内容によって暇かどうかは決まるんだよ」は本当にその通りだと思う。

そして、そういう人が用件として持ち出す「久しぶりにご飯でも行けたらと思って!」の裏にある「本当に話したい話」は、大抵わかりやすく透けて見えてしまい、察することができてしまう。察した上で断りづらい選択と行動をこちらに求めてくるの、どう考えても労力が釣り合っていない。

これが相手にどう思われるかなど気にしない性格ならば、こんなに苦労しないのだと思う。「空いてるよー」とか「ごめんね、予定入ってるや」とか「用件による」とかストレートに聞けるなら。察してしまう、けれど嫌われたくはない、そんないい子面した自分が出てしまうのも嫌だ。

きっと歯切れ良く「空いてますよ〜!」と言えてしまえば、全て丸くおさまるのだろうけれど、それでは私だけが心をざわつかせただけで、私の心が浮かばれない。その楽した誘い方に心をすり減らしている人がいるんだぞ、もっと相手のことを考えろよという威嚇の意を込めて、これからも少しだけ反骨精神を滲ませた返事をしていくのだと思う。